大規模建築物作業所見学会に参加して

摂南大学 黒田 太士

 今回の大規模建築物見学会は、「大阪府警察本部棟新築工事」と「大阪市中央公会 堂の保存・再生プロジェクト」という非常に興味深い建物だったので参加しました。 何が興味深かったかというと、一つには学生として実際の工事現場を見学し、建物が 造られる現場の雰囲気や空気を体感するという、普段なかなか経験する事のない体験 を出来ることでした。もう一点興味を引いた点としては、こちらの方がより興味を引 く理由だったのですが、警察本部という、普段平穏に暮らしている僕たちにはとうて いお世話になることのない(というかお世話になっていたら困りますが...)そん な警察の建物を、工事中で完成していないとはいえ、内部まで見学できることはとて も貴重な体験になると思ったからです。もちろん逆に工事中ということは、このよう な特殊な建物がどのように出来ているかを見ることが出来るということで、興味は2 倍にも3倍にも膨らみました。そしてもう一方の中央公会堂の保存・再生プロジェク トの方も、歴史的に貴重な価値のある建物の大規模な保存工事ということで、これは 見ておかなければ!と思ったので参加させていただきました。さて、建物の詳しい説 明や見学の流れなどについては、僕が説明するよりも「レポート」の方で詳しく分か りやすく書いてあると思いますので、僕は僕なりに感じたことを「大阪府警察本部棟 新築工事」と「大阪市中央公会堂」のそれぞれについてさっそく述べたいと思います。

 

1. 大阪府警察本部棟新築工事

 まず初めに見学したのがこちらの府警本部棟の工事現場でした。こちらの建物を見 学するときに少し驚いたのは、安全用の軍手やヘルメットに加えて、説明補助用のレ シーバーが全員に用意されていたことです。見学するときにはレシーバーを耳に装着 して見学に廻りました。そのレシーバーには現場の引率者の方の話す、見学中の注意 事項や建物の説明などを聞くことが出来るようになっていました。こういうことは、 学生の僕たちが知らないだけで、今回のような大規模な現場では既に当たり前のこと かもしれませんが、このような大人数での見学会の時には説明をはっきり聞き取るこ とが出来るので、とてもありがたかったです。このように、建築の工事現場において 建物を造るだけではなく、部外者の見学を受け入れる体制がキチンと整っているとい うことは、一般人が工事現場に入る際にも安全を確保しているということ、つまり職 人さんたちの働く職場としても安全の確保に努めているんだということがわかりまし た。

 建物の見学は、まず事務所で説明を受けた後に、最上階まで工事用のエレベーター で昇り、そこから順に下に降りていくというコースで見学しました。これは、上階の 方のまだ比較的仕上げなどのされていない所から順番に、下階の方の工事が先に進ん でいる方に向かって、建物が造られる順を追って見学をするという趣旨だということ で、これはとても理解しやすかったです。分かりやすく壁を例にしますと、はじめの 上階の方では躯体だけだった物が、下地材が付き、壁パネル貼られ、着色されてい く、といったように、下階に行くに従ってどのように壁が作られていくかがわかる仕 組みになっているわけです。これと同じことが、天井についても、床についても、設 備などについてもそのように見学出来るわけで、これはまさしく生きた教材といった 感じでした。ちなみにこの建物を見学して印象が深かったのは、留置所や取調室と 行った、警察の建物の特有の空間でした。最初で最後になる予定ですが、実際にそれ らの部屋には行った感想としては、暗くて、狭くて、何とも言えない圧迫感があり、 あの居心地の悪さは、「早く自供してここからでてしまいたい」と思わせるには充分 な空間構成だったように思います。

2. 大阪市立中央公会堂

 大阪市中央公会堂は以前から一度見学してみたい建物の中の一つでした。それは、 高校時代に一度入る機会あったのが流れてしまったことや、改修工事中の中央公会堂 を眺めることが何度か重なったことなどがその理由です。そして、今回念願が叶って 内部に入ることが出来たわけですが、中に入ってみての第一印象は、なかなか複雑な 物でした。というのも、内部の痛み具合が僕の想像を超えて、見た目にかなり痛々し かったからです。それは、古き良きと言うよりは、やや失礼ですが、ボロく痛んでいるという感じでした。

 さて、この中央公会堂の改修工事の特徴的な所は、「近代名建築の再生」と、「免 震構造」の二点だといえます。そのうち免震装置の実物を地下に潜って見学できたこ とは写真や教科書でしか見ることの出来なかった学生の僕たちにとっては、現物がど のような物かを間近で見ることの出来るよい機会となりました。また、現存する建物 に免震装置を設置する方法を、ビデオやパンフレットなどの資料に加え、実体験をふ まえて説明して頂いたことは、免震構造を理解する上で大きな財産になったと思いま す。もう一点、近代名建築を再生させる、という点では、先に述べたように内部の傷 みはけっこうなもので、どこまで古き良き味を残しながら改修出来るか、という所が 興味がわく所です。これについての体験としては、大ホールの前に立ったときに、ま だ至る所が改修中で、足場が組んであったりシートで覆われたりしていましたが、こ のホールの持つ威厳や雰囲気といったものをヒシヒシと感じることが出来ました。ま た、補修が終わって新しく生まれ変わった所を見ていると、完成した中央公会堂を早 く見たいという気持ちがわいてきました。