第8回BCS賞受賞作品見学会感想

京都工芸繊維大学大学院生 加藤 福(さき)

 

1. 国立国会図書館関西館

 まず最初は、国会図書館関西館へ。
 今回は普段一般の利用者が立ち入れない書庫にも入れるということで、建物だけでなく国会図書館のシステムも見学できるまたとない機会なのだと改めて気づき期待が高まる。
 バスで梅田から一時間強、ようやく図書館へ到着。ゆったりした敷地にでんと建つ建物がそれだ。設計競技では環境にとけ込む案を採用したとのことだったが、低層とはいえ前面ガラス張りの建物は強い存在感を持っていた。中へ入るとやはり明るい。
 ダブルスキンのガラスはドットやスプライトなどの表情をもっていて、風景が少しずつ変化する。床はルーブル美術館と同じ大理石、壁はイタリアンスタッコ仕上げ。設計者の陶器さんはイタリアでの実務経験があるということで、素材にこだわった箇所が他にもたくさんあった。
 閲覧室は永田町の本館よりも大分ゆったりとした空間。本館とは違い一部が開架式になっていたり、複写がセルフなのが驚きだった。
 次に書庫へ。電子図書館の名に相応しく、バーコード管理された図書が無人搬送車で運ばれる様子を見る。このシステムの採用で大分収蔵能力が高まっているのではないだろうか。ひと通り見てまわったが、全体的に費用のかかった建物だなぁという印象。これだけお金をかけられるなら、もう少し利便性の高い場所に建設すればよかったのにと思う。



2.大阪市中公会堂

 中之島にある近代洋風建築の保存・再生プロジェクト。
 何度も修復されている建物を創建時の状態に戻そうという姿勢のもとに計画を進めたのだそう。実際、壁の塗装などは何度も塗りなおされて層になっていた塗料を削ぎ、当初の色を確認した後塗りなおしている。また、貴重な壁画や銅版屋根・外壁・ステンドグラス等々が、それぞれに合った方法で洗浄・改修をされていた。上記の他にも改修箇所はあったが、直した部分はおおむね改修前の状態を一部分残してある。これは改修の記録としても、公会堂を人々の記憶の蓄積として大事に保存していこうという意思表示としてもいいことだと感じた。
 そして新たに加えた耐震機能について話をうかがいながら地下の免震装置を見学。この構法なら建物の内部に構造体を新しく加える必要がないとのことで、歴史的な価値のある建物にはぴったりの方法だと思う。計画に携わった方に細かい部分まで説明をしていただき、時間と人の手のかかった事業だったんだなぁということを実感した。

3. 最後に

 今回見学させていただいた二つの建物は色んな点で対称的だったという印象。比較しながら見ることができたので面白かったです。このような見学会を開催していただきありがとうございました。